ホスピスとは「客を保護する」と言う意味で、
寺院が旅人を積極的に保護していたことに由来すると言われています。
日本語には「おもてなし」という美しい言葉がありますが、ホスピタリティに近い言葉だと思います。
また、ホスピタリティを生み出す考え方のことをホスピタリティ・マインドといい、
「おもてなしの心」と訳すケースもあります。
よりわかりやすいように、ホスピタリティを、そのマインドも含めて
「相手に対する主体的な思いやり」と定義して話を進めて行きましょう。
「相手に対する主体的な思いやり」をもっと具体的にいえば
「自ら相手の気持ちになって、相手の立場に立って、共に考えてあげる気持ち・心」のことです。
「サービスは義務的な作業でしかない」
ホスピタリティと混同しやすいのが、いわゆる「サービス」です。
実際「サービスとは、どこが違うの?」と疑問をもたれる方も多いのではないでしょうか。
同じもののように感じられるかもしれませんが、実はサービスとホスピタリティは全然違うものなのです。
サービスは、ラテン語の「奴隷」を意味する言葉が言語で「〜しなければいけない」
というような義務を含んでいます。
平たくいえば、お客様に対して必ず履行・提供しなければいけないのがサービスです。
たとえば、どこの会社でも、マニュアルには、接客の手順などが規定されています。
これは、必ず履行しなければいけない、いわゆる作業レベルに属し、サービスということになります。
もちろんサービスは、お客様が不快な思いや不満を抱くことを防ぐためにも必要です。
ただ、サービス、言葉を換えればマニュアルでは、お客様に予想外の感動を生み出すことは難しいでしょう。
小さな感動を与えることはできても、予想外の感動にまではいたらないということです。
では、予想外の感動はどういうときに生まれるのでしょうか?
サービスをきっちりこなし、そのうえにホスピタリティがプラスされたときに初めて、
お客様に予想外の感動を与えることができるわけです。
ただし、後述するようにマニュアルレベルでも一生懸命に取り組むことによって、
お客様に予想外の感動を与えるケースもあります。
「ホスピタリティから作られた“しくみ”がサービス」
サービスとホスピタリティは意味が違うものの、とても近い関係にあります。
そもそもサービスとは、お客様へのホスピタリティをもとにつくられたものだからです。
「こうしてさしあげれば、お客様に喜んでもらえる」ということをもとにつくった“しくみ”がサービスなのです。
ただ、いったんサービスに組み込まれたホスピタリティはサービスであり、
ホスピタリティとはいえません。
日常的に、かつ義務的に行うことになるからです。
しかし、「お客様のために、このサービスはもつとこうすればいいのでは」というホスピタリティによってサービスを改訂すれば、
サービスのレベルがさらにアップしていくことになります。
{ホスピタリティの原点は}
相手のためを思ってしたことが、相手のためを思ってしたことが、相手のニーズに合わないことがあります。
そういうとき、相手もあまりいい気はしないでしょう。
ただ、一生懸命さは、相手に必ずといってよいほど通じるものです。
一生懸命であれば、たとえニーズに合わないことでも、
相手は、「一生懸命やってくれているんだ」と、好意的にとらえてくれるものです。
それは、自分のしたいことは相手のニーズに合わなかったかもしれませんが、
自分のホスピタリティは通じた、ということです。
相手も感動するはずです。
逆に、一生懸命でなければ、たとえニーズに合っていてもホスピタリティは通じないものです。
もっといえば、一生懸命でなければ、ホスピタリティがあるといえないでしょう。
